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事例紹介1:「産学官民連携 INS」
○INS事務局 小川智氏
縁あって、岩手大学にいくことになった。ひよこが生まれると最初に見たものを親だと思うのがすりこみであるが、最初に見てしまったのは清水健司であった。
事務局は一人でやっているわけではなくて、その日都合のいい人間がでかけていって宣伝する仕組みになっている。普段は大学の教官としての仕事を普通にしている。
なぜINSの事務局にいるか。10年少し前に岩手大学にいくことになった。それまで関東の大手大学にいたがある教授からら3年〜5年修行しろということであった。そこがスタートであったが、帰ってこないかという話になったとき戻らないことにした。格下げで、講師で戻らないかということであったこともあるが、そこから既に10年になる。
岩手ネットワークシステムの走りをお話する。ここにいる人が紹介するとそれぞれ全員が違う話をするだろう。それがINSだ。一応お話しすると、平成になる少し前ぐらいから岩手県の若手教官がこれではだめだ、金はないし、学生はできが悪いしと考えていた。そんなことを議論しながら飲んで騒いでいたが、平成4年に組織化して今の形になった。会員1000名弱、企業570、大学180、官200名などである。研究会では各研究会が勝手に研究している。
事務局は交流のプラットフォームをつくっている。また、地域共同研究センターの下支えをしている。交流の場を提供している。
昔は出かけていって説明をしたものだが今は全国から訪問者がきている。そこで1分から2分の距離をあるいていって話をしている。会長は岩手大学工学部長の千葉正克先生である。会員は、個人の資格で会費は1000円である。年間1000円の会費で情報がお手元に届く。事務局は9名体制。大学の教官が事務局をしているのが特徴で、通常の工学部の教官が休みの日だけINSの活動をしている。事務局は、企画委員会、運営委員会に参加している。毎月県庁、岩手産業振興センター、地域共同研究センターなどで何をしかけるかの相談をしている。大学の組織では○○委員会、評議会での検討になるが、INSでは明日あさっての、企画のできる人でやりましょうとなっている。この会はあまりにも激務になったので分担をきめている。
年4回の交流会には人があつまってもらえる仕組みを考えている。また、市民を対象に大学の教官が講演をしている。昔は大学の先生に公開講義を土曜日の午後などにやってもらうのは大変だったが、最近では私はやらなくていいのですかというように、なぜ声がかからないかというイメージを持ってもらえるようになった。これまで都合104回開催している。また市民向けのイベント、高校生向けに大学の教官が訪問に行くような活動などをしている。今後は高校生を集めて教えるようなこともしようということも企画もしている。また、地域の産業界との交流、企業講座等もやっている。
他の県の方がどういう取り組みをしているのかを調査するような企画もしている。高等学校の先生はどういう要望があるかなども電話で呼んでお願いするようなこともしている。高校に行って、実験を見せたりするキャラバン隊のようなこともしている。年に1回総会もある。
一番重要なのは、後援会よりも交流会である。1件の店をかりきって150名が集まる。大勢集まり、写真はレジの前の板の間で食べている風景である。必要な人・必要な事を見つけていってもらえばいいということだ。
パネル展示では、デパートのフロアで工学部の研究を紹介している。北上でも出向いて、2日で1400人があつまるこども科学館のようなイベントもしている。岩手ではいくつかの地域で地域産学官フォーラムも開催している。高校生も300人ぐらいが一度に集まってしまう。
冬季後援会・ファミリーパーティーは、土日に働いていくと家族が離れていってしまうので、冬は家族を呼んでパーティーをしましょうということである。
研究会は、34のINS研究会があって大型のプロジェクトに繋がるようのものも出てきている。
地域の会員は散るので、そこでまた広がっている。INSの魅力はやはりキーパーソンである。運営委員長など志のある人たちがいるというのが魅力の秘訣かと思う。自分たちの組織を離れての活動であってかつ自分たちの組織に影響力のある人が参加しているのでうまくいくのかと思う。INSの活動はボランティアでありアメーバ的な活動である。
岩手大学の先生はよけいなことをしゃべるなという感じがある。かなり自由にしゃべったなと感じたら、あとからよけいなことをしゃべるなと言われたぐらいに東北には封建的なところがやや残っていた。これが辛かったのが活動のエネルギーになったのかと思う。大学の敷居は低くなってきつつある。
企画としては、まずやりましょうという姿勢で進めている。ゴルフについても批判を受けたりするが、やってみてダメだったらやめようと言うことでやっている。
この先どうするのかが課題として残っている。INSからうまくいった事例が出始めて、大学も考えている。岩手大学は農学部が最初であるが農学部では岩手農林研究協議会アッフルという組織を作って取り組んでいる。その中で、県庁の支援が非常に大きく協力体制が非常に良い。
INSは、それを本務でやっている人間の集まりではないので、行き届かないことが多いだろう。銀行にお金をおろしに行く会計の仕事を大学の教官がボランティアでやっているような組織だ。そそうがあっても多めにみて欲しいと思う。